「食」と「農」の大商談会
- “農業にも強い”
銀行像を創った
「食」と「農」の大商談会は
こうして生まれた。
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名古屋銀行では「食」と「農」の大商談会という農業と食品業の関連事業者のマッチングに特化した商談会を行なっています。製造業のイメージが強い愛知県で、なぜこのような形式の商談会を開催するに至ったのでしょう。このプロジェクトに関わる行員たちに話を聞くと、その真意がみえてきました。
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籾山宗大
法人営業部
係長
2007年入行 -
小西 学
愛西支店
渉外グループ
課長
2004年入行 -
栗元俊一
愛西支店
渉外グループ
係長
2006年入行
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農業のポテンシャルを秘めた
じもとを支える存在になりたい。
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愛知県は自動車産業を中心に製造業が盛んな県として知られており、日本一のものづくり王国といわれている。そんな地域と深くつながる名古屋銀行のお客さまの多くは、当然のように製造業が多いと法人営業部の籾山は語る。
「名古屋銀行の多くのお客さまは製造業です。しかし、意外と知られていない事実なのですが愛知県はもともと農産物の産出量が全国で上位の実績があり、農業のポテンシャルを秘めた県でもあります。そこで、名古屋銀行として農業の分野を強化するために、5年ほど前から幅広いお客さまを持つ銀行のネットワークを活かし、農業事業者および食品関連事業者とスーパーや商社等の食品小売・卸等のバイヤー企業をマッチングさせる商談会を企画しました。現在も継続して「食」と「農」の大商談会を行うことで、今では『名古屋銀行は農業に力を入れている』という評価をもらえるようになりました」。
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こうした継続した取り組みは農業を営む方たちの信頼へと確実につながっており、順調に取引も拡大している実感があると語るのは、普段からお客さまと近い距離にある渉外の小西だ。
「私の部下が、ある農家さんに新規で営業に行った際「食」と「農」の大商談会を案内したところ、結果的に融資取引につながった事例があります。やはり農業や食品に特化した取り組みを行っていることが、お客さまに対してのPRになり他の銀行との差別化にもなっていると現場では感じています」。
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また、籾山曰く「食」と「農」の大商談会は、地元の農業と食品業の関連事業者にとって、より円滑な関係を築くための交流の場としても成長しているようだ。
「地元の農業の方は全国のバイヤーに対して商品を売り込むことが難しいという現実があり、私たちが開催する商談会で実際に販路を拡大されているお客さまは多くいます。また、農業と食品業の関連事業者は、取引自体はあっても深いお付き合いをしていないというケースが多いのですが、継続して開催する商談会が今ではネットワークを拡大する情報交換の場にもなっているため、お客さまにとって意義のある会に成長できたと思います」。
これまでになかった新しい出会いの縁を広げていくことで、地元の人々の未来を拓いていく。これこそ、名古屋銀行がめざす“未来創造業”の実践のあるべき姿である。
商談会はお客さまと名古屋銀行の
絆を深める場でもある。
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商談会を一緒になって企画し運営していくことの醍醐味は、その過程を通じて名古屋銀行とお客さまの絆が深まっていくことにある。木曽岬農業センターの担当渉外の栗元は商談会を通じてできた思い出を語った。
「木曽岬農業センターさまと当行は、最初は本当に限られたお取引しかなかったのですが「食」と「農」の大商談会や、販売先でのお手伝いなどを重ねて関係を深めていくことができました。私自身、これまで農家や農業関係のお客さまを担当する機会がなかったのですが、木曽岬農業センターさまと一緒に商談会の準備をさせていただいたことで、ドローンを使った近代的なお米づくりに取り組まれている企業努力やお米一粒に対する情熱を知るきっかけとなり、お客さまの理解を深めることの大切さを改めて実感する体験でした。特に思い出深いのは商談会当日。一緒になって試食のためのお米をトレーにうつしたり、ビジネスの機会がありそうなバイヤーに商品をアピールしたりと、お客さまと同じ目線にたって商品の売り込みをしました。商談会の後に、さまざまな業種や販売方法があることがわかり、次へとつながる感触を得ることができたと聞いたときは、本当に近い距離感で携わったお客さまだったので嬉しく思いました」。
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そんな商談会の裏側には、立役者の存在もある。商談会の企画を担当する籾山は、特に数ある出展者とバイヤーのマッチングの濃淡に配慮しているという。
「商談会の売りのひとつに個別商談会というものがあります。そこで難しいのが、出展者とバイヤー双方の商談希望の調整です。個社別の商談数に偏りがなく、出展者の扱っている商品・商材とバイヤーが求めている条件を整理し、双方にとってよりマッチングの確率が高く商談成約率も高まるような組み合わせとなるように考え、調整することが最も必要なところです。しかし、商談会の後に実際に商品が百貨店やスーパーに陳列されたというような話を聞くと、開催してよかったなと思います」。
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名古屋銀行では、地元のニーズを独自に探り「食」と「農」の大商談会のような新たな取り組みに続々と着手している。それは、お客さまとしては販路を拡大したい、売り上げを伸ばしたい、新しいお客さんを探したいというニーズが根本にはあるからだ。現在でも銀行の一般的な業務は、預金や融資や為替ではあるが、それは銀行が提供するサービスのひとつ。「食」と「農」の大商談会に携わる担当者たちは今後の展開として、将来的には名古屋銀行が銀行としての看板を活かして食品業の関係事業者とバイヤーの接点を生み出すハブ(連結する拠点)のような存在になっていきたいと語った。
じもとの農業の未来と
銀行の新たな未来を切り拓く。
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名古屋銀行は“未来創造業”を掲げている。この宣言に対して「食」と「農」の大商談会の取り組みはどのように関係しているのだろう。その背景を、渉外の課長職に就く小西が長年の経験をもとに語った。
「ひと昔前までは、企業が会社を新設するときなどに融資を行ったり、自宅を建てるときに住宅ローンのお手伝いをするのが名古屋銀行の役目でした。それに対して未来創造業でめざすのは、たとえば、”ある企業の得意先企業との出会いは、実は10年前の名古屋銀行の商談会がきっかけで、そこで生まれた縁によって会社が大きくなった”というようなストーリーをともに創っていくことにあります。今までの銀行の代表的なサービスであった融資は、お客さまの未来をサポートする手段でした。未来創造業は、そんなこれまでの業務を発展させ、名古屋銀行がお客さまのめざす未来に対してより深く関わっていく銀行になる、という宣言です。つまり、「食」と「農」の大商談会という取り組みは、農業のお客さまとともに未来を創っていくサービスになります」。
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未来をともに創っていくためには新しいサービスを提供するだけではなく、一人のお客さまとこれまで以上に絆を強くしていく必要がある。小西は、お客さまとの関係性を深める上でも「食」と「農」の大商談会が重要であると語る。
「やはり愛知県は製造業のイメージが強いと思います。しかし、名古屋銀行としては農業を営む方たちのことも大切にしていきたい。そこで、通常の銀行業務以外の商談会は名古屋銀行のことを農業の方たちにアピールする絶好のツールです。そして、このような取り組みを重ねていくことがお客さまとの関係性を深めることにつながるのだと思います」。
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「食」と「農」の大商談会は、今では年一回の恒例の商談会となった。何度も参加するお客さまも増え、毎年たくさんの縁が生まれている。レンコン作りをする会社と親しくなった愛西支店では、行内のイベントとしてレンコン掘りをやらせていただくことになった。泥だらけになりながらお客さまと交流を深めていく様子も、実に名古屋銀行らしい姿だ。

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当社のお米を多くの方にアピールでき、
「次へとつながる」商談会になりました。有限株式会社 木曽岬農業センター
代表取締役社長 古村 精康当社は米の生産から精米販売まで行なっています。名古屋銀行さまとの付き合いは7年ほどになり、人柄のいい行員の方々を大変頼りにしています。
当社の扱うお米の新しい販路を探したいと思い、商談会に出展しました。担当の行員の方は丁寧に商談会の準備をしてくださり、商談会の当日には私たちと同じ目線にたち、お米の試食品をお客さまたちに配るなど商品のアピールまで熱心にしていただいたことが深く印象に残っています。商談会に参加することでさまざまな業種や販売方法を知ることができ「次へとつながる」結果を得ることができました。