未来創造業

従来の銀行業を超える
「未来創造業」の
最前線では
何が起きているのか。

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名古屋銀行は「銀行業」から「未来創造業」になると宣言し、近年まさに銀行の枠にとらわれないサービスを次々と展開しています。業態という企業の根本を新しく示し直したこの大胆な切り口には、一体どんな意図が込められているのでしょうか。銀行内部の方針や新サービスを企画し「未来創造業」推進に携わる本部の行員たちに、最前線の現場の動向を聞きました。

MEMBER

  • 金田洋輔

    法人営業部
    係長
    2009年入行

  • 西川幹二

    法人営業部
    課長
    兼 営業企画部
    自動車産業サポート室
    2000年入行

  • 宮野貴仁

    経営企画部
    2015年入行

銀行業の枠を超えて、お客さまの課題に
踏み込み未来をともに描く。

銀行の3大業務は預金・貸出・為替。一般的な理解として知られているこのビジネスモデルだが、名古屋銀行では近年、これらの業務の枠に縛られない新たなサービスが続々と生まれている。この変化を象徴するように、2018年から名古屋銀行は「銀行業」から「未来創造業」になるという宣言を掲げた。このような動きの背景にある市場の変化と「未来創造業」の具体的内容を、過去にM&Aの専任者を務め、現在は法人営業部の課長職に就く西川が語った。

「企業課題の中でも『存続』は究極ともいえるテーマです。現在は企業の6割が後継者不在といわれ、私が専任者を務めていた頃よりも経営者にM&A自体が広く認知されるようになりました。さらにM&Aのとらえ方も大きく変わってきています。たとえば、ご子息を持つ経営者であっても、子の未来を考えたときに事業承継は絶対ではないと考える方も多くいらっしゃいます。このような場合に、個人の未来と会社の未来におけるギャップを埋める手法がM&Aなのです。

そして、昨今は当行の業務も『未来創造業』としての動き方に変化しています。それは、『存続』をテーマに例をあげるのであれば、これまでは『存続』が私たちにとってのゴールでした。それが『未来創造業』では、お客さまのニーズ発掘に始まり、『存続をしたあとの将来像』までを一緒に描いた上でM&Aや事業承継といった選択肢をご提案する営業スタイルへと変化します。それがつまり、銀行業を超えた領域までお客さまの元へと踏み込み、未来をともに創っていく業態になるということなのです」。

このような「未来創造業」の推進にともない、名古屋銀行ではより企業課題の本質に向き合っていくためにさまざまな協力会社と提携し、提供できるサービスを充実させている。提携の拡大にともない、本部には2018年9月から新たなポジションもできた。立ち上げメンバーの金田は、その役割は「未来創造業」の実践のためにあると言う。

「当行は今、お客さまへご提案できるサービスを急速に拡大しています。そこで、企業と提携会社を適切に結び付けられるように、支店の行員に同行してお客さまの課題に対する最適解を案内することが私の役割です。目まぐるしく変化する社会の中で、お客さまを取り巻く環境もどこに何を相談すればいいかわからない状況にあると思います。そのようなお客さまに対してこちらからニーズを発掘することで、これまでのビジネスモデルでは成し遂げられなかったより深い関係性を築いていきたいです」。

「未来創造業」の実践において印象的なことは、新たな指針であるにも関わらず現場の行員たちには戸惑いが感じられないことだ。これは創立より「地域社会の繁栄のために奉仕する」思いを根底に持つ名古屋銀行にとって、銀行業よりもむしろ最適な業態を示している、という納得感があるからかもしれない。

地域社会の多様化する課題に応える、
ユニークなサービスを発信していく。

「未来創造業」を推進するために、内外両方への舵取りを行う存在として経営企画部がある。同部署に所属する宮野は、今後行員には今まで以上に高い能力が必要になると話す。

「『未来創造業』では、内部の能力向上が不可欠です。そこで経営企画部では『人事部』を『人材開発部』に改名し役割の見直しを行いました。これは、行員の能力向上により力をいれていくことを行内に示すことが目的です。では、行員が伸ばしていくべき能力は何かといわれると明確な答えは出しづらいのですが、たとえばニーズを発掘できるようになるには、的確な提案につなげるために当行のできることを改めて理解しておく必要があります。それと、企業課題を見つけるには、各自がもっと経営的な知識を磨いていかなくてはなりません。また、名古屋銀行ではお客さまに向けた取り組みも企画しており2019年10月には『自動車産業サポート室』を新設しました。その意図は、愛知県の基幹産業である自動車業界は変革のときを迎えており、地域の主力産業を支えることは『地域社会の繁栄に奉仕する』を社是に掲げる当行として、強化すべき分野だからです」。

「自動車産業サポート室」の新設のように、名古屋銀行では地域社会の多様化する課題に対応するため自分たちの活動領域を拡大している。西川いわく、新たに始まった人材紹介業にも大きな狙いがあるようだ。

「始まった理由は、どの業界にも共通する深刻な人材難が背景にあります。もちろん、人材の確保をサポートさせていただくのですが、実は人材難という課題からは、企業が目的のためにある分野の人材を強化したり、弱点を埋める人材を補ったりと、その先にある経営課題が見えてくるのです。つまり人材紹介業の狙いは、新たなソリューションを考える機会を創出すること。『未来創造業』には、今までとは違う角度から情報を仕入れるプラットフォームを用意することも重要なのです」。

名古屋銀行では、こうしたこれまでの銀行業を超えたユニークなサービスをいくつも発信している。特に異色なものは「婚活事業」だ。これは事業承継の問題を解決する上で、経営者・後継者の結婚をサポートするものであるが、言わずもがな一般的に銀行が踏み込める課題を超越している。そんな名古屋銀行が今後どのような事業を発表していくか、ぜひ注目していただきたい。

銀行のイメージに縛られない、
多種多様な個性を待っている。

「未来創造業」を中心に名古屋銀行では今、内部の構造的変化やお客さまに向けた事業の拡大が起きていることがわかった。そのような現場ではどのような人物が求められているのか、率直な意見を金田が語った。

「今私たちは預金や貸付に限定されることなく、お客さまのニーズを発掘することを大切にしています。それは、お客さまも気づいていない経営課題を見つけるという困難な行為ですが、必要な能力があるとすれば相手の立場に立って物事を考えることだと思います。そういった思考から気づきが生まれ、お客さまの5年後10年後の未来を創造するための提言につながっていくのではないでしょうか。また、私たちが目指すスタイルをイメージしやすくするには、『経営コンサルタント』が近いと思います。まさに私が所属する法人営業部では、『お金を貸せる経営コンサルタントになる』が合言葉になっており、お客さまの課題を解決するために日々邁進しています。

業務イメージを具体化するために、日頃から密にお客さまと関わる支店営業では『地域商社』をめざすと表現することがありますが、それはお客さまの課題の中でも『販路拡大』をサポートするための手段のひとつです。『お金を貸せる経営コンサルタント』は、『地域商社』を含む課題解決のための上位概念と理解してもらうといいかと思います。

ただ、もしかするとそれらよりも最適な表現があるかもしれませんし、まだ誰も思いついていない事業だっていくらでもあるはずです。当行も銀行業の枠を超えようと動き始めたタイミングなので、これからは以前よりももっと幅広い個性が活躍できる場が増えていくのかなと思います。なので、従来の銀行のイメージに縛られない方たちが入行してくるのを楽しみにしています」。

名古屋銀行は今まさに変革のときにある。これは奇策を打ったわけではなく、社是である「地域社会の繁栄のために奉仕する」を根本に、社会の課題が多様化する現代において、これからの銀行業を真摯に見極めた結果である。だからこそ、銀行で働きたいと考える方はもちろん、地元がとにかく大好きな方、社会の仕組みを変えるクリエイティブなことがしてみたい方、これだと思える道で人生最大の挑戦がしたい方など、多種多様な思いを満たすことのできる環境が名古屋銀行にはあると思う。型にはまることなく、あなたらしく輝いてほしい。「未来創造業」に足りないものがあるとすれば、あなたという個性の他にないのだから。