今の業務をデジタル化していくだけではなく、デジタル技術を活用して業務プロセスやビジネスモデルの変革を目指すのがDXだと私は考えています。前例踏襲のような考え方ではなかなか果たせないことです。2022年にDX推進室は設置されました。DX戦略の柱として掲げているのは3つ。お客さまとの非対面チャネルの強化を図る「銀行サービスのDX化」、営業店の事務作業の削減など銀行内の業務効率化を図る「業務・事務のDX化」、そしてデジタル人材の育成や、お客さまのICT支援を行う「お客さまのDX化支援」があります。
例えば住宅ローン業務では、動画説明の導入や電子契約などに取り組んできました。従来は窓口に出向かないとできなかった手続きが、次々とデジタルチャネルでできるようになってきています。
電子契約やWeb口座開設は、一見すると「非対面で手続きが出来るようになった」という単純なことですが、実は銀行にとっては、長く必要としてきた押印を不要とする業務プロセスの改革を伴っています。お客さまのニーズに合わせて新しいリスクを取る決断をし手続きを変えるといったように、ときに本気度が試されるのがDXだと思っています。
銀行内部に目を向けると、事務手続きや業務知識などを答えてくれるチャットボットの導入、一人一台のスマートフォン支給など、職場インフラのDX化が進んでいます。スマートフォンを持つことで固定電話の取次削減、外出先でのメール対応、決裁業務が可能になるなど、DX化により「時間」が作り出され、より高度な業務に取り組むことができるようになっていくことを目指しています。
また、私たちが法人のお客さまに対して果たすべき役割は経営支援であり、DX化は一つの手段だと考えています。大仰に構えるのではなく、何に困っているか、どんなことができれば便利になるかなどをお聞きして、デジタルテクノロジーの活用でどう解決できるかを一緒に考える、そんなコンサルティングが重要だと思っています。流行の生成AIが導き出せる答え “ではない”
ところにこそ、名古屋銀行の存在意義があり、真のビジネスが隠れている。私は、そう思っています。